甘い恋じゃなかった。






ガチャン、という玄関のドアが閉まる音で目が覚めた。


桐原さん仕事行ったのか…。




んん、といつものクセで寝転んだまま伸びをしようとして、


「痛っ!」


落ちた。


腰と頭を強打する。



そっか、私昨日はソファで寝たんだった…。




あぁ私何やってんだろ。
ジンジン身体が痛むのを感じながら床に寝転んだままでいると



「うわあっ!」


「………」



ひょこっと視界に現れた美少女。
物凄く怖い目で私を見下ろしている。


「あ、愛良さん…早いですね」


「……」



私が身を起こすと、愛良さんはフン、と顔を背けてキッチンに歩いていってしまった。

上下ジャージを着て、首にはタオルをかけている。昨晩私が貸したパジャマは、布団の上にきちんと畳んで置かれていた。



「ランニングとか?」


「………」



グイッと冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターをあおった愛良さんが、無言で私を睨みつけた。



どうやら、私と会話をする気は微塵もないらしい。