甘い恋じゃなかった。








「どーぞ、こちらをお使いください」



「フン」




お風呂を出て、寝る支度を整えた私たち。


愛良さんには私の布団を使ってもらうことにする。



「お、おやすみなさい」



「……」



もちろんその返事が返ってくることはなくて、さっさと布団に潜りこみ私に背を向ける愛良さん。
ちなみに桐原さんは暫く前に自室に入っていったまま出てこない。もう完全に眠っていることだろう。



…はぁ。



私はこっそりため息をつくと、電気を消してソファに寝転んだ。暫くはここが私のベッドになる。




目を閉じてうとうとしていると、



「…ねぇ」



暗闇の中から愛良さんの声が聞こえた。

これは私に話しかけてる…んだよね。




「は、はい。なんでしょう」


「アンタよくお兄と一緒に暮らせるよね。申し訳なく思わないの?」




申し訳なく…思う。もちろん。でも、だからこうして同居しているのだ。



愛良さんは続ける。



「ラッキーって思ってるんでしょ。お兄、イケメンだし性格もいいし」


「え?性格は最悪だと思いますが…」


「…は?」



寝返りを打ってこちらを向いた愛良さんの瞳が、暗闇の中でギラリと光る。




怖い!



やっぱりこの二人兄妹だわ…。