「お給料を…もらうつもりが、ない!?」
「お前何か勘違いしてんだろ。俺はミルフィーユで働いてるわけじゃない、師匠に弟子入りしたんだ。
半人前の弟子が金もらおうなんておこがましいだろうが」
キリッとした表情で桐原さんが言った。
タダで居候しているおこがましい分際で何を言っているんだと私は思った。
「で、でも…
そんなこと言ってたら、いつまでたってもここから出ていけないですよ!?」
桐原さんだってこんな同居生活、きっと本意ではないはずだ。
桐原さんはフンとつまんなそうに鼻を鳴らすと
「お前が栞里の居場所を教えさえすれば出てってやるよ」
「だ、だからそれはー…」
「あーもう分かった!」
私の言葉を遮るように、勢いよく立ち上がった愛良さん。
「お兄がここを出ていくつもりがないなら、私も一緒にいる。こんな女と二人きりで生活させるわけにはいかない」
…えーっと?
それってどういう…?
冷たい汗が背中をつたう。なんだか物凄く嫌な予感がする。
そして愛良さんは、敵陣にいざ切り込まんばかりの勢いで、ハッキリとその私の予感を口にしてみせた。
「私もここに住む!」
…マジで!?



