マンションの部屋に帰ったのは22時を少し過ぎた頃だった。
あの後一人で映画を観て、たまにはいいかと夕飯も外で済ませてしまった。こんなに一日中、一人で動き回ったのは久しぶりだ。
「遅かったな」
リビングではソファで桐原さんが寛いでいた。今帰ってきたところなのだろうか。いつも仕事に持っていく鞄が、足元に置いてある。
「私外で済ませてきちゃったんですけど。有り合わせでなんか作りましょうか?」
「じゃぁ鯛のポワレで」
「おにぎりにしますね」
私は桐原さんの意見は完全無視し炊飯器の蓋をあけた。彼はこうやって普段全く作らないようなオシャレ料理ばかりリクエストしてくるから困る。
「具は何にします?塩昆布か梅か…あと」
ピンポン、と遮るように玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だろう…。インターフォンがちょうど壊れていて確認できない。
最近通販でなんか買ったっけなー?
そんなことを思いながら恐る恐る玄関のドアを開けると、そこには見知らぬ女の子が立っていた。
…いや、違う。私この子、見たことある。
“クズが”
あの華麗な回し蹴り女子高生だ!



