甘い恋じゃなかった。





少しして、お待ちかねのダージリンとミルフィーユが運ばれてきた。



パイの表面にのった苺はナパージュされており、宝石のように美しい。



「おいしそ〜♡いただきまーす!」



私はさっそくフォークを取ってミルフィーユを口に運んだ。



サク、と香ばしく口どけの軽いパイ生地。


濃厚なカスタードクリームと爽やかな苺の甘みの絶妙なバランス。パイの香ばしさがよりそれを引き立てている。




「…おいし〜い!」


「…お前ほんっとうまそうに食うよな」



大袈裟な、とでも言いたげな桐原さん。
見ると、ダージリンにもミルフィーユにも、全く手をつけていない。



「桐原さんも早く食べてみて下さいよ。さぁさぁさぁさぁ!!」


「…分かったよ、うっせぇな」




渋々とダージリンに手を伸ばす桐原さん。一口飲んで、そして




「…うまい」




意外そうに呟いた。




「でっしょー!?ほら!ミルフィーユも食べてみて下さい!カフェミルフィーユのミルフィーユ、絶品なんですから!さぁさぁさぁ!!」



「だからうるせぇっつーの」



桐原さんは鬱陶しそうに私を睨みつけると、「ほんとにうまいのかよ」とブツクサ言いながらそれを口に運んだ。



瞬間。




カッ!と桐原さんの目が大きく見開かれた。