甘い恋じゃなかった。




やっぱりケーキには人を笑顔にできる力がある。なんか私まで嬉しい。


ゴキゲンで呼び込みを続けていると、店内を覗き込んでいる数人の若い女子グループに気付いた。


なんだろう…混み具合の様子を窺っているんだろうか。


声をかけようと近づくと


「アイツじゃね?キララ王子の彼女って」


そんな声が聞こえた。


「あのケーキ運んでる女?」

「それしかいなくない?女」

「ふーん…アイツかぁ…」


…この子たちの言うアイツって…


視線を追うと、予想通り笑顔で接客をするお姉ちゃんの姿があった。



まさかこの人たちって…


「よし、じゃぁあの女誰か連れてこいや、ちゃっとシメんぞ」


リーダーっぽい巻毛の美人がボキ、と拳を鳴らす。


キララ王子のファン(過激派)の人たち…!?


「あ、あああの!!」


店内に入ろうとするのを慌てて止めた。


「…何」


じと、と怪訝そうな瞳が一斉に私に注がれる。


やばい!止めたのはいいけど何も考えてなかった!


「えっと…あのー…」

「退いてくんない?」

「いやいやいや待って!」


押し退けて入ろうとするのを再び立ち塞がって、なんとか阻止した。


「何だよ、あんた?」

「えっと…私はアレです、その、キララ王子の彼女?」



シン、と静まり返る。怪訝そうな瞳が一斉に疑いの視線に変わる。


「…はぁ?本当、それ?」

「ほ、本当!」


嘘じゃ…ないもんね、うん!まだ!