甘い恋じゃなかった。





ハロウィンが終われば街は一気にクリスマスモードだ。


あちこちをキラキラの電灯で彩られた街を桐原さんと二人で歩く。



「うお、さみぃ」



桐原さんがダウンコートを口元まで引き上げた。

確かに、今年の冬はいつもよりも寒さの追い上げが早い気がする。



「くそ、これからもっと寒くなるのかよ…」


ダウンコートの向こうでモゴモゴと文句を言う桐原さん。



「桐原さん冬嫌いですか?」


「好きなわけねぇだろ。寒いし忙しいし。特にクリスマスは地獄だ」


「地獄って。
私は一年で一番好きな行事ですけどね、クリスマスって」



ひんやりとした風が吹く。


私もコートの襟元を合わせた。



「いいよな、ただ楽しむ側は」


「まぁね。頑張って私たちのためにケーキ作ってください、パティシエさん」


「うるせー」



空を見上げるといつもよりも澄んだ星空が見えた。

うん、冬って感じだ。



「クリスマスケーキももちろん楽しみですけど。
やっぱり子供の頃はサンタさんが来てくれるのが一番楽しみでしたね」


「はぁ?サンタさん?」



不可解、とでも言いたげな顔をする桐原さん。



「桐原さんって何歳まで信じてました?サンタクロース」


「何歳も何もうちには存在してねぇよ。うちは仏教だって散々言われてたからな」



な…なるほど。