甘い恋じゃなかった。




言うと同時に走り出す。


あぁ、今日の遊園地デートのために、走りやすいスニーカーできて本当によかった。



遠ざかっていたお姉ちゃんの背中が、どんどん近づいてくる。



一体追いかけて何を言うつもりなのか、何のために追いかけているのか最早自分でもよく分からない。ただ、今見失ったら今度こそ本当に二度と会えないんじゃないかという思いだけで、私は夜の道を突っ走った。



昔から私より何でもよく出来たお姉ちゃんだけど、運動神経だけは私の方がよかった。まぁ相手がヒールというのも大きいが。



「お姉ちゃんっ…!」



ようやく追いついた私は、グ、とお姉ちゃんの左腕をつかまえた。



「やっ、離して!離し…」


「大丈夫、桐原さんはいない!私一人だから!」



その言葉に暴れるのをやめたお姉ちゃんがゆっくりと振り向いた。


私が一人なことを確認し、ホ、と胸を撫で下ろす。



「…ごめん」


お姉ちゃんが消え入りそうな声で言う。


「それ…違うでしょ、言う相手が」

「………」

「とりあえず私の家、行こう」



そ、とお姉ちゃんの背中に手を当てると、ゆっくりと項垂れるようにして歩きだした。