甘い恋じゃなかった。





遊園地から電車を乗り継いで、最寄駅から自宅までの道を並んで歩く。


夜の空気は冷え切っていて、もうすぐそこまで本番の冬が来ていることを予感させた。


だけど、桐原さんと繋いだ右手はポカポカ、温かい。




なんだか幸せだ、と私は思う。



知らなかった。誰かの温もりは、こんなにも、心まで温かくしてくれるものだってこと。



そ、と幸せを噛みしめる私の横で、桐原さんが不意に足を止めた。自然と私の歩みも止まる。



「…俺んちこっち」



手を繋いだまま私を見下ろして、桐原さんが言った。



そうか、ここでお別れかぁ。



今更ながら、2人一緒に住んでいた時のことがたまらなく懐かしい。

もしもあのまま同居していたら、このまま今夜は一緒に眠れるのに、なんて思う。



でも、仕方がない。



明日は私も桐原さんも仕事だし、こんなところで彼に面倒くさい女だなんて思われたくはない。



「そっか。今日は楽しかった、ありがとう。また…」



サバサバとした笑みを作って、桐原さんの手から右手を引っこ抜こうとした、が、グイ、と握り直される。



「…え?」


「ちげーだろ。だから…」




桐原さんが空いている方の手で、頭をガシガシとかいた。



「…俺んち来いよって、誘ってるんだけど」



…なんと!!!