甘い恋じゃなかった。




「ちょっ…!」



グラ、と大きく観覧車が揺れる。


強引に引き寄せられるまま、飛び込んだのは桐原さんの胸の中だった。



「つーか何で正面座ってんだよ」



すぐ耳元で声がする。


ち、近すぎない…!?


かかる吐息に、顔がボッと熱くなる。



「し、正面って…」

「普通隣だろ?」



思い切ってゆっくりと顔を上げてみる。


至近距離すぎて、彼の瞳の中に狼狽えた私が映ってる。



「あ、あの」


「なに」


「わ、私重いですし降ろしてもらっても…?」



今の体勢。私が桐原さんの膝の上に思い切り乗っかっている。


重いだろうし恥ずかしいしで。



だけど桐原さんは私の背中に腕をまわして、ガッチリとホールドした。



「ちょ…ん、」



チュ、と不意に触れた唇。



目を大きく見開いて彼を見る。

桐原さんはいつもの余裕そうな笑みだった。



「な、急に…!」


「黙れよ」



彼の大きな手のひらが、今度は後頭部にまわる。



「今、てっぺん」



もう一度重ねられた唇は、さっきよりも深くて、甘い。