甘い恋じゃなかった。




「なっ…お、俺がこんな子供騙しを怖いとか、あっ…あるわけねぇだろ!?」


そして目を泳がせながらも必死に否定をする。うん、図星だなこれは。



「意外でした…桐原さんにも怖いものってあるんですねぇ」


「だから怖くねぇって!」


「いいですよ別に、そんなムキにならなくても」


「ムキになんてなってねぇよ!
こんなもん、余裕だっつーんだよ」



そして自ら率先して最後尾に並ぶ桐原さん。



私もそんな彼の隣に並んで、聞いてみる。




「本当に大丈夫ですか?」


「だから!余裕だっつんだよ」



本当かなぁ。心配だなぁ…。









一時間後。


「だから大丈夫か聞いたのに」

「うるせ、話しかけんな。世界がグルグルする…」


ジェットコースターを乗り終えた私たちは、ベンチで休憩していた。

桐原さんには精神的にも身体的にも相当なダメージだったらしく、ベンチに横たわったままピクリとも動かない。


「誰ですか子供騙しとか言ってたの…」


近くの自動販売機で買ってきた水を渡すと、ヨロヨロとそれを受け取って額に当てた。


「うるせぇ。こんなもんに金払って乗るとかおかしいんじゃねぇか」


「えー?楽しかったですよ?」


「お前には恐怖心というものがないのか!?」


「桐原さん…やっぱり怖かったんですね…」



「うるせぇ」