甘い恋じゃなかった。





「桐原さんアレ!アレ乗りましょう! 」



入園ゲートを潜るなり、私が指差したのはこの遊園地の目玉でもあるジェットコースター。


大落下に大回転…見るからに怖そうで、楽しそうだ!



ウキウキとしながら桐原さんを振り向くと、



「…乗るのか?コレに?」



ちょうど落下しているジェットコースターを目で追いながら、再度確認してきた。



「はい!行きましょう!」



そして勢いよく歩き出そうとしたのに、なぜか桐原さんはそこを動こうとしない。

手を繋いでいたため、お陰で後ろにつんのめりそうになった。



「ちょっと…桐原さん?」



今度は一回転しているジェットコースターを見ながら、桐原さんがゴクリと唾を飲み込んでいる。



「乗らないんですか?」


「いや…あ、後にしよう」


「えぇ?早くしないと並んじゃいますよ?」



ちょうど今いい感じに空いているのに!



「いや…こ、こういうのは目玉だろ?はじめからメインなんて、なんか勿体ないだろ」


「…そうですかねぇ?むしろ、はじめに乗ってシメにもう一回とか」


「アレ!アレに乗ろう!!」



私を遮るようにして桐原さんが指差したのはファンシーなメリーゴーランド。…メリーゴーランド!?



「…の、乗るんですかアレに?桐原さんが?」


「…悪いかよ。とっとと行くぞ!」