そんなわけで、私は今玄関先で桐原さんにキスをされている。
そんなわけでってどんなわけだよ、って?うん、それが私もよく分からない。
ただ、桐原さんの鋭い視線に威圧されるがままにオートロックを解除し、部屋の鍵を開けて中に入った瞬間、後ろ手に扉を閉めた桐原さんか私の肩をつかみ、壁に押し付けキスをしてきたのだ。
しかも先ほどのキスよりも濃厚なやつだ。
私の唇を食むように何度も何度も角度を変える。
私はただ突っ立っているだけで、なされるがままになっている。
唇を離した桐原さんはやっぱり不機嫌そうだった。
「…口開けろよ」
「…は?口?」
私は言われた通り、歯医者さんにするように口をあ、と大きく開けた。
「……」
ガックシと項垂れる桐原さん。
「ほんと腹たつわお前…キスの一つもしたことねぇのかよ」
「す、すみませんでしたね下手くそで!」
どうせモテモテキララ王子を満足させるようなキステクニックなんて持ってませんよ!
なんだか猛烈に恥ずかしくなってきて、俯いた私の顔を桐原さんが両手で挟み、無理やり視線を合わせてきた。
「いいから口開け。閉じんじゃねぇぞ」
瞬間。
噛みつくようにキスされた。



