甘い恋じゃなかった。





私が黙ったままでいると、そんな私に痺れを切らしたらしい、桐原さんが私の肩をつかんで無理矢理振り向かせた。


「おい何とか言え…って…」


私の顔を今日一番の至近距離で見た桐原さんが、ぎょ、とした顔をする。



「…は?お前何泣いてんだよ」


「なっ、泣いてないです!」



慌てて桐原さんから顔を逸らして俯いた。最悪だ。見られた。



「いや、泣いてんだろうが。目赤いし化粧取れてるし」


「これは…か、花粉症で」


「…ふーん。こんな時期に?あ、そういえば秋もイネ花粉とかあるのか」


「そっそう!それです!」


「嘘つくんじゃねーよ」




桐原さんの冷たい声が、頭の上から容赦なく降ってくる。


うう、なぜ。


なぜこんなに責められている気分になっているんだろう私。