甘い恋じゃなかった。




ズンズンズン、とアスファルトを踏みしめて歩く。心なしかいつもよりも大分歩くのが早いような。これが怒りの力なのか。


そう、私は怒っている。


人に散々迷惑をかけて散々巻き込んだあげく、関係ない、だと?踏み込んでくんな、だと?

人の私生活には土足で踏み込んできたくせに!偉そうに!!



歩く。歩く。歩く。段々スピードが落ちていく。



“関係ない”



…その言葉がすごくショックだった。

私だって今日、牛奥に投げつけた言葉なのに。こんなにも拒絶の響きを感じさせるものだったとは。


…薄々分かってきてしまった。


私はどうやら、桐原さんとの同居生活が終わったことを、とても寂しく思っているようだ。
そして、桐原さんにこれからも、関係していきたいと思っている。関係ないとか、そんなこと言われたくないと思っている。


…解せない。
作るケーキは極上。だけど性格は最悪。


それなのに思い出すのは、ケーキを作るときに見せる真剣な瞳とか、ふとしたときに笑った顔だとか、自信満々に、ケーキを食べる私を見下ろす少し緩んだ口元だとか。



…はぁ。バカみたいだ。



“好きじゃねぇよな?別に”


…人の気持ち、勝手に決めつけないで欲しい。





残念ながら。






私はアンタが好きみたいだ。