甘い恋じゃなかった。




「…面倒くせぇ女だな。
お前、なに?俺のこと好きなわけ?」

「はっ…はぁ!?」


唐突に言われて、声が裏返ってしまった。


「な、何を急に…!」

「好きじゃねぇよな?別に。好きじゃねーなら俺が出ていこうが何をしようが、どうだっていいだろ?…栞里のことも。お前には関係のないことだ」


ズルい。ここでお姉ちゃんのことを出すなんて。


「お姉ちゃんの、ことは…」

「だからお前には関係ない」


ス、と店内の温度が下がった気がした。

顔をあげると、とても冷たい目をした、桐原さん。


「踏み込んでくんな」


そして彼は今度こそ厨房に入っていってしまった。


入れ替わりに、入口のドアが開く。


「ただいま~キララくん!ごめんねぇ買い出し長引いちゃって…って、明里ちゃん?来てたんだ!」

呑気な声の店長が、私に気付いて駆けよってきた。


「ん?どうしたの?そんなに険しい顔しちゃって?怖いよ?」

「この…」


スゥ、と思い切り息を吸い込む。


「俺様男がぁあ!!」

「え?何?それって僕のこと?」


うろたえる店長。そんなわけなかろう!


「店長!!」

「はっはい!」

「帰ります!!!」