甘い恋じゃなかった。




はじまりは無理矢理で、グイグイ私の生活に入り込んできたくせに。


「終わりは何も言ってくれないなんて。巻き込むだけ巻き込んで、そんなの勝手です」

「…そんなの…俺の勝手だろ」

「牛奥に言われたからですか?
お姉ちゃんのこと好きなら私から離れろって言われたから?」


ピクッと桐原さんの眉が動いたのが分かった。


「…やっぱりまだ、好きなんですね。お姉ちゃんのこと」


「…お前…何が言いたいんだよ」



桐原さんの眉間に皺が寄る。


何が言いたいか?

そんなの正直自分でもよく分からない。


ただ私はムカついている。

一方的にはじまって、一方的に終わらせられて。


「何か相談があっても良かったんじゃないかって言ってます!」

「お前…ほんと分かんねぇ。はやく出てけって言ってたくせに、気が変わったとか言ってみたり。あげくの果てに相談しろだ?なんなんだよ」

「そんなの、私だって分からないですよ!」

「逆ギレかよ!」


客が誰もいない店内で睨み合う。


はぁ、とため息混じりに、桐原さんが目を逸らした。