「…もしかして、桐原さんのこと?」
たった今頭の中で思ったことをズバリ牛奥に言い当てられてしまった。
「え、何で…」
「…別に。そんくらい小鳥遊の顔見ればわかるし」
えぇ!?そうなの!?
思わずドアの曇りガラスで自分の顔を確認してしまう。
そうかなぁ…自分にはいつも通りの顔に見えるけど…。
「俺言ったから、桐原さんに」
首をひねる私の後ろで、牛奥がボソリと、独白のように言った。
「言ったって、何を」
「…小鳥遊のこと弄ぶなって」
…え?
「…は?いつ?」
「…つい最近。一人でミルフィーユ行って」
「何でそんなこと」
「…我慢できなかったんだよ。
利用されてる小鳥遊のことが」
利用されてる…?私が?桐原さんに?
「う、牛奥?あんた何か勘違い…」
「だってそうだろ?逃げられた花嫁の妹の弱みにつけこんで家に転がり込むなんて」
い、いや。そうだけど、そうじゃない。
「牛奥…誤解してるよ。別に私は…」
「無理やり同居させられてたんだよな?」
…う。だから。そうだけど。
「…だからって別に関係ないでしょ?」
「…小鳥遊」
「牛奥に、私と桐原さんのことどうこう言われたくない」
正しいこと言われてるから、こんなに腹が立つんだろうか。



