「おいちょっと…小鳥遊!おい!」
その時誰かに名前を呼ばれ、パソコンの画面から顔をあげると、少し離れたところから牛奥が私を手招きしていた。
「牛奥?どうしたの?」
立ち上がって近くまで行くと、牛奥がパンッと胸の前で手を合わせ言う。
「悪い!ちょっと手伝って欲しいことが」
「え?」
牛奥に連れてこられたのは資料室だった。
過去の大事な資料なんかが保管されているところだ。ただあまりに膨大な数が保管されているのと、あまり利用する人が少ないのもあり、妙な静けさと埃っぽさに包まれている。
「この中から十年前のS社との営業記録を探せって?」
「そそ!小鳥遊ここ、詳しかっただろ?」
「…ずいぶん久しぶりに来たけどね」
新人の頃は、仕事柄もあり、先輩に言われて過去のデータを探しにちょくちょく来ていたから、自然とどこにどんな資料があるかは大体把握できていると思うけど。
「たしかS社関連のものはこの辺に…」
積み重なっていた資料を持ち上げると、ブワッと埃が舞い上がった。
「うわっ…牛奥窓!窓開けて!」
「お、おう!」
古い空気と、新鮮な空気が入れ替わっていく。



