“世話になったな” 水曜日の朝。 目が覚めると、テーブルの上にそう素っ気なく書かれた一枚の紙と、合鍵と、福沢諭吉がいっぱい入った封筒が置かれていた。 そして、休みのはずの彼の姿はどこにもなかった。 嫌な胸騒ぎがして、ケータイに連絡しても繋がらない。 なんでもない水曜日の朝。 桐原さんが、いなくなった。