甘い恋じゃなかった。






店から駅までの道を歩いていると、少し冷静になってきた。何を私、店を飛び出してくるほど何に怒っているんだろう。



一つだけ分かったのは、私は誰かに桐原さんのこと、悪く言われるのが凄く嫌だということだ。それが例え、信頼している同期でも。





…どうして?





「小鳥遊!」



声と同時にグ、とつかまれた腕。驚いて振り向くと、息を切らした牛奥が立っていた。




「ごめん。今日は本当は、あんな話するために小鳥遊と会ったんじゃない。ただ俺、桐原さんに対してすげー嫉妬してる。嫉妬してあんなこと言った。ごめん」



…嫉妬?牛奥が桐原さんに?



「…何で?」



素直な疑問を口にすると、牛奥が「そ、それは」と口ごもる。



そして、




「あー!!」




夜空に向かって突然叫んだ。



牛奥!?




「ど、どうしたの急に!?」



近くを歩いていたカップルが驚いてこちらを見ている。そりゃそうだ。私も驚いている。



牛奥はキッと私に向き直ると、




「好きだ」




唐突にそう告げた。





「俺小鳥遊のことがずっと前から好きだよ」