「…別に好き、とかじゃないけど」
「じゃぁおかしいだろ、一緒に住むとか。
大体、普通じゃない。小鳥遊の姉ちゃんが結婚破棄した相手なんだろ?」
「…まぁ、そう、だけど」
「それで無職になってその妹の家に転がり込むとか、どうかしてる。おかしいんじゃねぇの。今の仕事だってフリーターみたいなもんなんだろ?そんな…」
「やめてよ、もう」
思ったよりも低い声が出た。
牛奥がは、としたように目を見張る。
今私、どんな顔してるんだろう。
だけど、これ以上この話をするのがすごく嫌だった。
すごく嫌だ。
桐原さんのこと、悪く言われるのは。
「桐原さんは決していい性格してるとは言えないし俺様だし自己中だし、ムカつくこともたくさんあるけど。
でも仕事はプライド持ってやってるよ。
それに私は、桐原さんが作るケーキがすごく好きなの。桐原さんの仕事、バカにすることだけは許さない」
しん、と重苦しい沈黙が私たちを包む。
牛奥は黙ったまま、でも何か言いたげな表情で私を見つめている。
そんな牛奥の手を振り払って。私は立ち上がった。
「…ごめん。今日はもう帰る」



