甘い恋じゃなかった。






私にとって、桐原さんは何なのか。




そんなこと考えたこともなかった。
ていうか、この質問の意図がよく分からない。




「どうしたの急に。それよりチョコムース一口食べない?」



アハハ、と笑って流そうとした。
だけど牛奥は私が差し出したチョコムースには目もくれず、じ、と私を見つめ続ける。やけに真剣な瞳で。



「答えてよ」



完全にさっきまでとは空気が変わってしまった。さっきまでの、あの和やかな空気はどこに行ってしまったんだ。



「答えて、って言われても…」



私は真剣に考えてみることにする。



「…同居人」



うん、それ以下でも以上でもない。


私はこれで話は解決したと思い、チョコムースに手を伸ばしたが、その手をグ、と牛奥がつかんだ。


驚いて顔をあげる。




「な、何?どしたの」


「…やっぱり俺は納得できない。
好きなんだろ?桐原さんのこと」


「…はぁ?何でそうなるの」


「小鳥遊のこと見てたら分かるよ。
桐原さんといる小鳥遊はいつも楽しそうだ」




楽しい…のか?


改めて思い返してみる。



…確かに、はじめの頃よりは桐原さんと一緒にいることに慣れてきた。楽しい、と思うこともあるかもしれない。だけどそれと同じくらいムカつくこともあるし。

桐原さんが、前より笑ってくれることが多くなったのは嬉しいと思う。



だけど、だからって桐原さんのことを好きなのか?と言われると違う気がする。



…ていうか。
一番分からないのは、なぜそこに牛奥がここまで拘っているのか、ということ。