甘い恋じゃなかった。






「…デザート食えよ。ここデザートもうまいって評判だし」



話を遮られた為か、一瞬ガクッと肩を落とした牛奥が気を取り直してメニューを差し出してくれる。


メニューを受け取り開くと、たくさんのデザートメニューが並んでいた。



あ、このビターチョコのムースっていうの、おいしそー…。




「牛奥は?」


「俺はいいや」



そっか、牛奥はあまり甘いもの好きじゃないもんね。



私だけ注文を終え、少ししてデザートが運ばれてきた。




…すごくオシャレなチョコレートケーキ。



中を割ると、甘いチョコムースの中にブラックベリーのクリームが忍ばしてある。




「…すごい、このチョコムース、すっごくおいしい!」


「…そっか、よかったな」



目を輝かせる私に、牛奥が嬉しそうに笑った。




「あー…これ、桐原さんが食べたら何て言うんだろう」


「………」


「ブラックベリーて美味しいんだねぇ。ねぇ、牛奥も…」






「桐原さんが食べたら、か…」


「え?」




顔を上げると、牛奥がどこか自嘲的に笑っていた。




「小鳥遊は、桐原さんがいない時でも、桐原さんのこと考えるんだな」




…なんか、牛奥の様子がおかしい。




「…牛奥?どうし…」



「なぁ、小鳥遊にとって俺って何?」



「それは、さっきも言ったけど大事な同期だよ」


「じゃぁ桐原さんは?」



「は?」



「小鳥遊にとって、桐原さんって何なの?」