甘い恋じゃなかった。





見た目は洗練されていて上品な感じの居酒屋…というには気がひける。バー、といった方が正しい雰囲気だ。

恐る恐る中を開けると水のせせらぐ音が。

店の中だというのに木が生えていて、店内はいい感じに薄暗い。自然の中をイメージしているのだろうか。


これまたいい感じにオシャレな店員さんに導かれ、私は奥の方の席にいそいそと腰掛けた。


スマホを開くと、牛奥から【俺もそろそろ向かう】とLINEが届いていた。



牛奥…急にどうしてしまったんだろう。

今までこんなにオシャレな雰囲気のお店で飲んだことなどない。まるでいい感じの雰囲気の男女がデートする、みたいなお店だ。私と牛奥なのに。変なの。



少しして、牛奥がやってきた。


どうやら急いで来たらしい。息が少しあがっていた。



「悪い、待った?」


「いや、全然。それよりもこのお店、どうしたの?」


「どうしたのって」


「いつもの店と全然雰囲気違うじゃん!着いたときビックリしちゃったよ〜」




アハハ、と冗談ぽく笑うと牛奥も、あー、と曖昧に笑った。



「まぁ…たまにはいいだろ?とりあえずなんか頼めよ!」



メニューを広げて渡してくれる牛奥。



うーん、どうしよう。なんか、いつものようにとりあえず生で!とは言いにくいお店だ。