甘い恋じゃなかった。






「あぁ…ホントありがとな。小鳥遊のおかげだよ」


「別に、同期が助け合うのは当然のことでしょ?」



立ち上がり、カバンを持つ小鳥遊。



「帰るのか?」


「うん、一回シャワー浴びてからまた出社するよ。
じゃ、今日のプレゼンがんばって!」




バチン!と俺の背中を思い切り叩く小鳥遊。



痛かったが、ジンとした痛みで頭が冴えた。そして思ったんだ。クリアになった視界で。






俺、好きかも。小鳥遊のこと。






「小鳥遊!」



気付いたら呼び止めていた。


ボサボサ頭の小鳥遊が「ん?」と眠そうな顔で振り向く。




「今度お礼に奢るから…飯でも、行かね?」



小鳥遊が一瞬キョトンとした顔をして、それからすぐに笑顔になった。



「オッケー!じゃ、莉央も誘っとく!」


「…は?リオ…?」



それが同じく同期の早乙女莉央だと結びついたのは、小鳥遊が俺に背を向け歩き始めたときだった。



「いや、二人っ…!」



そんな俺の声は、もう彼女には届いていなかった…。