「桐原さん、タンお好きです?どーぞ♡」
ジュージューと肉が焼ける湯気の向こうで、甲斐甲斐しく桐原さんの取り皿に肉をよそう莉央。その目は完全にハートマーク。どうやら桐原さん、完全にロックオンされてしまったようだ。
「早乙女…彼氏とまだ続いてるよな?」
そんな莉央を見て、牛奥がひきつった笑顔で私に確認してくる。
「うん、たぶん…」
するとそんな私たちの会話が聞こえていたらしい莉央が、「言っとくけど別れたから」と冷めた瞳で言ってきた。
「え?そうなの!?いつ!?なんで!?」
「んー、一週間くらい前?浮気してたのが発覚して」
「大丈夫か…?」
牛奥が心配そうに莉央の様子を窺うと、「大丈夫に決まってんでしょ」、と莉央があっけらかんと言った。
「もう顔も思い出せないし。あ、桐原さん、お飲み物次何飲まれます?♡」
桐原さんに笑顔でメニューを差し出す莉央は、強がっているようにはとても見えない。さすが彼氏のスパンも切り替えも早い女、早乙女莉央。



