甘い恋じゃなかった。










チュン、チュン、チュン―――




どこかで雀の鳴く声がする。




ゆっくり目を開けると、窓からは朝特有の、白っぽい光が差し込んでいた。




その光の中で、誰か寝ている。すぐ隣で寝ている。あれ?私間違えてお姉ちゃんのベッドで寝ちゃったのかな―――




―――いや違う!!



不意に意識が覚醒した私は、ガバッと音が鳴るほどの勢いで飛び起きた。




隣には、ソファベッドの上でスヤスヤと眠る桐原さん。




そしてそんな彼の右手は、私の左手としっかり繋がれ―――





「うわあああ!!!」





悲鳴をあげながら全力で振り払う。彼は「う~ん」と少し唸っただけで、起きることはなかった。





心臓が物凄い勢いでバクバクいっている。朝からこんな動悸、もしかして死ぬんじゃなかろうか。





いや、落ち着け。落ち着くのよ、小鳥遊明里(タカナシ アカリ)!!

手なんて小学生の遠足で既に繋ぎ済だし(迷子防止で)!全然大したことないから、全然動揺することじゃないから!




必死にそう言い聞かせ、やっと落ち着いてきた私はとりあえず、ローテーブルの上のデジタル時計を確認した。




AM6:20 Saturday




いつも休日の午前は寝て過ごすのが定石だが、今の衝撃で完全に目が覚めてしまった。







桐原さん――具合は、大丈夫なんだろうか。




すっかり温くなった冷えピタをはがし、額を触ってみる。昨夜より大分熱は引いたようだった。