甘い恋じゃなかった。






「…はぁ」



彼女がため息混じりに長い髪をかきあげた。



「あの子、性懲りもなくまた女なんか作って。本当に馬鹿な子」



…それはお姉ちゃんのことを言っているんだろう。でも、私は断じてそんな関係ではない。きちんと否定しようと口を開きかけたけど、




「言っときますけどね」




彼女の強い瞳と口調に遮られた。




「うちは代々続く病院なの。この病院を守っていくことが私たち、そしてあの子たちの使命なの。

それをケーキ作りなんてお遊びに夢中になって…馬鹿げてるわ。くだらない」




…馬鹿げてる?くだらない?




ギュ、と拳を強く握る。




真剣にケーキを作る桐原さんの横顔。

おいしい、とはしゃぐ私に、当たり前だろと偉そうに胸を張る桐原さん。

そして何より、信じられないくらいおいしい、彼のケーキ。



それが全て…そんな一言で片付けられるなんて。



「…そんなことあなたに言われたくありません」


「はぁ?あなた何を」



「だからっ!桐原さんのことバカにすんなって言ってるんです!」




何で私こんなに怒ってるんだろう。何に対してこんなにイライラしてるんだろう。

だけどもう、止められなかった。