甘い恋じゃなかった。











目を開けて、まず一番に目に飛び込んできたのは大きなシャンデリアだった。キラキラ、というより、ギラギラといった方が正しい。

圧倒的な光を放つそれを眺めながら、いくらくらいするんだろ、なんてまだボンヤリとした頭で思った。


少しして、ここはどこだろう、という疑問がようやく頭をもたげる。そうだ、愛良ちゃんが誘拐されそうになって、それを阻止しようとして、そしたら変な匂いを嗅がされて…



愛良ちゃんは!?




慌てて体を起こすと、ズキ、と頭の奥の方が疼いた。思わず頭を抱えた私に「何やってんの?」と冷たい声が降ってくる。


この冷たいけど、よく知った声。この声は…




「愛良ちゃん!」




窓際に立った愛良ちゃんが呆れた瞳で私を見下ろしていた。見る限り怪我などは、していなさそうだ。よかった。



「何でアンタまでこんな所来てるわけ」


「いや、だって誘拐現場をみすみす見過ごせないし!」


「…は?誘拐…?」


「ていうかここはどこのホテルです?なんか随分高そうですけど」



このシャンデリアといい、私の寝かされていたソファといい、明らかな高級品のオーラが漂っている。



「いや、ここはホテルじゃなくて私の…」




その時、この広い部屋の扉が開いて、女の人と、その後ろからサングラスにスーツ姿の男が現れた。間違いない、私が腕に噛み付いた奴だ!