―――ステンドグラスから差し込んくる光が、神々しく輝くチャペル。
厳かなパイプオルガンが鳴り響く中、白いタキシード姿の桐原さん、そしてゲスト、皆が扉の向こうにいるであろう新婦の入場を待ちわびていた。
ゆっくりと扉が開く。
そこには緊張した面持ちの、だけど誰よりも幸せそうな、長いトレーンとヴェールに身を包んだ花嫁姿の姉がいるはずだった。
だけど。
―――誰もいない。
「大変ですっ…!」
みんなが呆気に取られる中、顔面蒼白した式場の人が駆け込んできた。
「花嫁がいません…!」
その瞬間の桐原さんの顔は覚えていない。
ただ、やっと状況を理解したゲストがざわめきだす中で、彼は、桐原さんだけは、じっと静かに前を見つめて、立っていた。
まるでこうなる事が、分かってたみたいに―――



