甘い恋じゃなかった。






私が言う“いいとこ”というのは、もちろんココのことだ。



「おー明里ちゃん!いらっしゃ…」



いつものように威勢のいい声と共に振り向いた店長が、私の後から入ってきた愛良ちゃんを見て、その動きをピタリと止めた。



「すっごく美しいですね…!」



かと思ったら、呆けた表情でノロノロと近づいてくる。




「彼氏とかいます?ていうかどんな男がタイプです?よかったら今度ご飯でも…」



「ちょっと!」



机を拭く布巾片手に口説き始めた店長の腕を慌てて小突いた。




「この子まだ女子高生だからね、店長」


「えっ嘘!?若!」


「ちなみに桐原さんの…」




妹です、と言い終わる前に、桐原さんが店の奥から現れた。



「え…お兄!?」



愛良ちゃんが目を大きく見開く。



「お前ら…何やってんの?」



桐原さんが眉間に深く皺を刻んだ。