それにね。




「もう泣かないもん!悲しいことなんてないし!」




今日からまた普通の生活に戻れるから。



もう痛くて、苦しくて…なんてなくなるから。



泣かない。




「桜、そろそろ行こうか。」




私服姿の亮樹兄ちゃん。



「うん…。

みなさん、本当にお世話になりました!」




そう言って、小児科病棟を出た。




亮樹兄ちゃんのあとについていく。


両手に、花束と千羽鶴。


リュックには、入院で使ったものを詰めて。




「ねぇねぇ亮樹兄ちゃん?」





「ん?」





「あたし、ここの景色見るの久しぶり。一年ぶりだ〜。」



ぐーんと背伸びをした。