早く、行かないといけないんだけど。





あたしは、ICUじゃなくて、病室の方にいる。



なぜか、ここに来てしまう。



…大丈夫。晴ちゃん、今はICUにいるんだよ。


だから、ここにはいないはず。






そう自分で納得しながら、けれどゆっくりとドアを開けた。




その少しの間に、ついさっきのことのように思い出す。



晴ちゃんと言い合ったこと。



ケンカ……したこと。







部屋に入った瞬間、感じた。






晴ちゃんは………もうここにはいないって。










「っ……!?」





不思議なくらいの静けさ。



カーテンが閉まっていて、すこしだけ暗い。


荷物やお布団はそのままで。





晴ちゃんの顔に、白い布がかぶさっていた。