「だから、どんなことがあっても大丈夫だよ。

あたしは、あたしなりに頑張れるから!

あたしなりに精一杯がんばれるから。


だって、今ここであたしが目を覚ました事が、奇跡なんでしょ?ほんとうは。



だからね、あたし頑張ったよ!


ひとつ、乗り越えたから、また乗り越えれるよ。」





 

桜の言葉、ひとつひとつ聞くけど、



俺は静かに聞くことしかできなかった。




桜が、こんなこと思ってたなんて。



こんなことが言えるようになったなんて。





そう思うと、俺も救われた気がするし、心がふわっとあったかく、軽くなった。



しだいに目が熱くなってくる。





「だから、亮樹兄ちゃん。

検査の結果で落ち込まないでね。もしだめでも、また奇跡を起こせるように頑張るから。」




こんなこと、ほんとに桜が言ってるのか?




俺は今にも流れそうな涙を必死でこらえながら笑った。





「…そうだな。桜ならきっと大丈夫だな。」




そういうと、うれしそうにうなずいていた。




部屋を出ようとすると、後ろから声が聞こえた。





「こんどは、あたしがみんなに感謝を返すからね。」