バタンっ
勢い良くドアが開いて、飛び出した実優。
それを追うように、翔も駆け出した。
「待てよ実優!!」
…けど、実優は体育祭で、毎回リレー選手に出場するくらい。
男子でそこそこ早い翔でもなかなか追いつかない。
「どこ行ったんだよあいつ…」
焦る反面、ふつふつと怒りもおぼえていた。
近くを探すと、待合室の端のイスに座って、背中が震えていた。
翔は荒い呼吸を整えて、ゆっくり近づくと隣に座る。
「実優…」
「…ッひっく…」
手で顔を覆って、泣き声を押し殺していた。
泣いている実優つられて、思わず翔も、目の奥から涙が込み上げてくる。
…けど、それは押し殺した。
「実優……気持ちはわかる。
けど、亮樹先生に言う言い方があるだろ?」
優しく言う翔。
実優は服の袖で涙をぬぐうと、目を真っ赤にしながら言った。
「だってッ……だって!
桜がっ…治らないってッ…」
ここからは泣き声で言葉にならなかった。


