「桜はっ…よく頑張ってたよ。
すごい…最後までよく頑張ってた。」
必死になって、ようやく出たのは…こんなことしか。
その瞬間、実優ちゃんがバッと立ち上がった。
「頑張ってた?最後までっ…?
ねぇ、なんで最後なのっ?!なんで“頑張ってた”なの?!
桜は…桜はまだ…まだッ……」
目から大粒の涙を流して。
「…先生はッ、桜とずっと一緒にいるんでしょ?!
家族なんでしょ?!なのにどうしてそんなこと言うの?諦めちゃうの!?」
そう叫ぶと、病室から出ていった。
「おいっ、実優!!」
実優を追いかけて、翔も病室を飛び出した。
しーんと静まり返った病室。
ただ聞こえてくるのは、桜の心電図モニターのピッピッピ…という規則的な音だけ。
ベッドに顔をうずめた。
だめだ……
涙が、出てきて止まらない。
“諦めちゃうの?!”
その言葉が、頭に響いて消えない。


