亮樹兄ちゃんだけだよ。
目の前にいる、まるで映像の中にいるだけの亮樹兄ちゃんの手を握った。
手は暖かくなくて、こっちにぜんぜん気が付かなくて。
夢…夢の、中なら。
あたしは………
「どうしたらいいの…?」
誰とも話せない。触れられない。
顔も、目も合わない。
なんとなく、目の前の“あたし”の背中を触った。
映像の中の、夢の中の“あたし”。
この状態って…
目の前に広がる世界は、現実みたいで、あたしはまるで幽霊。
夢か、現実か。
けど。もしこれが現実なら、目の前にいるもう一人のあたしはいないはず。
幽霊みたいなこのあたしは、幽霊なら死んでるはず。
なら、夢か。
もしかしたら、あたしは幽体離脱とかいうの?
走馬灯ってやつ?
トクン…トクン…
「…え?」
なんとなく触れた“もう一人のあたし”の背中から、音が…脈が触れた。
もう一度、触ってみる。
トクン…トクン…トクン


