冷たく、固くて、どこかの感触に似てる。




ひた…ひた…



これ…床だ。

茶色い、木の床。



いつも見てるようで、どこか懐かしい床。




そのうち、白いモヤも消えて、周りがだんだんと見えてきた。




「ここっ…!家だ。」



家だ。家だ……


胸の奥から、ぐっと大きなものが込み上げてくる。




「っ…ううっ…ひっく」





いつもいるお部屋。ベッド、勉強机。


キッチン、お風呂、テレビ…



なぜかそれだけなのに、涙が出てしまう。



帰りたくても、帰れなかった家。



戻れなかった所。



ずっと、戻りたかった所。




でも。なんで、ここにいるの?


もしかして、亮樹兄ちゃんが連れてきてくれたの?





「亮樹兄ちゃんっ!!」