つ、つ、つ…




テンポよく流れる点滴。


ゆっくり、けど確実に。あたしの中に、薬が入っていく。



抗がん剤が。


体が、やめてって拒否してるのがわかる。


それでも、入れられる。




トントンっ


窓の外を見ると、マスクをしている茜さん。


窓越しだけど、"大丈夫?"って声が聞こえる。




あたしは、どう返事をすればいいのかわからなくて、ゆっくりうなずいた。



大丈夫なわけ、ないのに。



けど。晴ちゃんの方が辛いはず、…そう。晴ちゃんのほうが…





だんだんと、ぼーっとしてきて、まぶたが閉じそうになる。



…だめだ。今閉じると、体力がないからずっと寝ちゃう。



だから、今が何時かなんてわかんない。




寝て、起きて点滴打って、寝て…の繰り返し。




「んっ……!!」



突然襲う、ズキンという頭痛。


なにかに、ガンっと殴られてるみたい。




「いったぁ…」





「また頭痛いか?」



心配そうに顔をのぞく亮樹兄ちゃん。


けど、あたしはそんなに余裕はなくて。



しかたなく、少しだけうなずいた。