「んーっ、いたいよっ!いたいぃ... 」




朝方から、叫び声がこだまする。




「痛いなー、もう少し我慢してくれよ?」



そう言いながら、背中をさする亮樹兄ちゃん。




でも、あたしの目にはもう涙がたまっていて。


気がつくと、ぼろぼろとながれている。




「むりっ... ねぇ亮樹兄ちゃんっ... 」




なにされてる訳じゃない。


再び抗がん剤治療を始めてすぐに、副作用があらわれた。


40度を越える発熱。頭痛。


関節が痛くて、骨も痛い。


頭も痛い。全部痛いよ。




今、薬をいれてもらってるけど、効き始めるまでに時間がかかる。





結局、ベッドの上で、体力もないくせに暴れる始末。



「痛いっ、いたぁいよっ!」




「ほらっ点滴取れるって。」



そう言い、亮樹兄ちゃんの膝の上に座らされた。



ぎゅっと、抱きしめるかんじで押さえてる。





「桜、大丈夫だからなー?もうだんだんと治ってくるから。」



「むりーっ!!いたっ... 」














こんな会話がいつまで続いたのか…







気がつけば、おひさまはてっぺんにのぼってた。



「すぅー…すぅー…」


自分の呼吸音だけが聞こえる。


ゆっくり吸って…吐いて。



こうすると、ちょっと楽。


朝方の痛みは、薬のおかげでひいたけど。




ガラッ



ドアが開いたと思うと、茜さんが入ってきた。



点滴の様子を確認すると、あたしの手首をつかむ。



「…うん、脈は安定してるね。」



にこっと微笑むと、頭をなでられた。




「息苦しくない?大丈夫?」



あたしは小さくうなずく。