亮樹兄ちゃんは車イスを出すと、ベッドの前に置いた。
「乗れるか?」
あたしは首を振った。
力が出ないもん。乗れないことはないけど…つらい。
すると、車イスを端っこによけて、あたしを抱きかかえた。
「よし、これで行くか。
桜、まず診察室から行くな?」
「うん…」
眠い。まぶたが落ちてきそう。
移動してる間、うとうとしてると、あたしがほんの少しまで前にいた、小児科病棟に来た。
変わらない病棟の空気、部屋。
小さい子がキャッキャと走っていて。
けど。
「え……?」
ひとつだけ、違った。
ちがう……ない……
なんで?どうして…?
もしかして、階がちがうの?
けど、案内板に書いてある階は間違えなくあたしが、前にいた所。
心臓が、バクバクとした。
この上なく、きゅーっと胸が締め付けられて、めまいもしそう。
「…………晴ちゃんの病室は?」


