ペタ、ペタ、ペタ。



足跡が廊下に響く。





あたし、もう意識がどっかいっちゃってるんじゃないかってくらい、ぼーっとしてる。





「...無理。... 無理。... 無理。」





呪文のように繰り返していると、横から声が聞こえた。




「... え?桜ちゃん?」




顔をひきつらせ、恐る恐るあたしに声をかけてきたのは、



うすピンクのパジャマに痩せ気味の足。顔は前よりげっそりしていた晴ちゃんだった。





「え...... 」




思わず、声が漏れちゃった。



だって、すごく痩せた。前よりまた痩せた。



前に見たときから、そんな時間はたってないのに。



車イスになんとか座っていて、後ろに看護師さん。


座っていてもフラフラしてる。







「もう、びっくりしたぁ。死にそうな顔で呪われたみたいに、無理って言ってたんだもん。

桜ちゃん、ほんとにどうかしちゃったかと思った。」




そう苦笑いする晴ちゃん。



あはは... って、そうじゃなくて。



ってか、ちょっとひどく言い過ぎなんじゃ... 呪われたみたいにって... 。







「は、晴ちゃん、痩せた...よね?」






前までちょうど良いサイズだった服はだぼだぼで、大きく見える。