ぎゅっと耳をふさぐ手の力が強くなる。 ......やだ、聞かない。聞きたくない...!! 困ったような心配そうな亮樹兄ちゃんの顔が目にうつる。あたしに近づいてくるけど、その手をはらう。 目も、ぎゅっと閉じた。これでもかってくらい、強く強く。...このまま、この現実がなくなればいい。 耳をふさいで目を閉じて。なにも入ってこないように。 そのとき、真っ暗なあたしの世界に、突然あたたかいぬくもりを体全体に感じた。