それから、晴ちゃんの話を聞いた。



ずっと、ゆっくり、ゆっくり聞いた。



今まで苦しかったこと。辛かったこと。

治療が痛くて嫌だったこと。


自分の病気を聞いて、悲しかったこと。



ぜんぶ、ぜんぶ話してくてた。



晴ちゃんはそれで、だいぶ楽になったって、笑ってくれたけど。



それはあたしだって。


あたしも、こんな辛い思いをしてるのはあたしだけじゃないってわかったから、


あたしの心もすこし楽になったよ。






「...とりあえず、卒業式は出ないとね。」



晴ちゃんが言った。



「いいなぁ~卒業式。あたしも出たいよー。」



すると、きょとんとして。



「え?なにいってるの。桜ちゃんも出るの。」



... へ?


いやいや。当然のように言って。


それに、あたし出れるかわかんないんだよ。



「けど、まだ決まったわけじゃないでしょ?」



まあ、そうだけど。



すると、晴ちゃんは小指をだしてきた。



「約束ね。卒業式はふたり絶対に出る。

そしたら、私も高校行くか考えてみる。」




「えっ!?」




高校って... ほんと?



「ほんと。だから、出てね?」




「... わかった!出るね!」





じゃあ、亮樹兄ちゃんに交渉しなくちゃね。



晴ちゃんは、いつもより声をあげて笑った。