あたしはうつむいた。
じっと、自分の手だけを見ている。
「... あ、マスクははずしちゃダメ。
いつも言ってるでしょ。今は免疫が下がってるんだから。」
そう言って、下に下げていたマスクを元に戻された。
「... わかってるもん。忘れてただけだもん。」
やっぱ、病室戻りたいな。お話なんてしなくていいよ。
「ふーん、そう?お前ときどきしてないだろ。」
「し、してるっ。してたの!」
そっぽ向いて言った。
すると、亮樹兄ちゃんは苦笑い。
「ふっ... もー、最近ずっとそんな感じだねー。どうした?疲れたの?」
... 子ども扱い。
亮樹兄ちゃんは、どこに隠していたのか、紙パックのリンゴジュースをだした。
「はい、飲みな。」
「え?... 飲んでもいいの?」
「あぁ、治療でずっと飲めなかったからな。ごほうび。」
あたしは、ストローをさして口に含んだ。
久しぶり。おいしい。
リンゴジュースなのに。それだけなのに... うれしい。


