グズグズと鼻をすすって、涙をごしごしふいて。
「茜さん... わかんない。」
ぽつり、とつぶやいた。
茜さんは首をかしげた。
「ん？なにがわからないの？」
その声はとっても優しくて、あったかい。
「あたしっ... ちがうの。亮樹兄ちゃんに... ひどいこと... 」
また涙があふれてくる。
そんなあたしを、茜さんは笑って背中をさする。
視界がぼやけて、あんまり見えない。
「うーん、そう桜ちゃんは思ったの？」
あたしはコクりとうなずいた。
茜さんはまた、うーんとうなって、あたしの手を握った。
びっくりして、見上げると、すこしいたずらっ子顔になった茜さん。
「じゃあ、会いに行こっか！亮樹先生に。」
え？えっ... でもっ。
「だって、桜ちゃんのことだもの。どうせこのままずっと気にしてるんでしょう？
だったら、行こうね！」
いや、茜さん... 手を引っ張りすぎ... 。
そうだ、久しぶりで忘れてたけど、茜さんは小柄なのに力が強いんだった。
「じゃあ、行こう～。」
