「なんで...ならないの?」
「 そりゃ、今回のことはさすがに怒ってる。
自分で自分のことを傷つけるなんて、絶対にやっちゃいけないことなんだぞ。」
ぴしゃりと言われて、うなずく。
「わかってる...。ほんとに、もうしないもん...」
"あたりまえ" と言いながら、あたしの頭をなでた。
「ほんとなら、もっと怒鳴ってる。...けど。
家に慌てて入ったとき、桜の顔を見てすごくあせった。」
あたしの..顔?
「すごく追い込まれてるようなかんじだったよ?
自分ひとりの殻に閉じこもってて、無理やり傷つけようとしてるように見えたんだ。
心とは裏腹に。」
しんと静まる診察室。
亮樹兄ちゃんはさらに強く、あたしの手を握った。
「それを見て、思ったんだよ。
......俺が、桜をあそこまで追い詰めてしまったんだな..って。 」
声が小さくなって、言葉がつまった。
悲しそうにうつむきながら。


