ふと亮樹兄ちゃんの胸に耳があたると、心臓の鼓動が聞こえた。
トクトク...
気のせいか、体も震えてて。
え... 泣いてるの?
あたしは亮樹兄ちゃんの顔を見た。
痛いから?
あたしが... あたしが... こんなことしたから?
亮樹兄ちゃん... 手。
ごめんなさい... 。
あたしが、切ろうとして止めてくれたのに、亮樹兄ちゃんの手を切っちゃって。
亮樹兄ちゃん...
亮樹兄ちゃん 亮樹兄ちゃんっ!!
急に胸がきゅーっと痛くなって、
今までの事がどうでもいいくらいに、亮樹兄ちゃんに抱きついた。
よくわからないけど、涙が止まらなくて。
「亮樹兄ちゃんっ... ひっく... てぇ... !手っ!」
あたしがもぞもぞ動くと、やっと体を離してくれた。
「ん?なぁに?」
「亮樹兄ちゃんっ、手!手がっ... 血ぃ出てる... 」
"あぁ... " とつぶやいて、またあたしの方を見た。
「だーいじょうぶ。このくらい。」
そうくしゃっと笑った。
大丈夫じゃないよ... 血、いっぱい出てるもん。
ポタポタ床に落ちてる。


