カチ、カチ、カチ、



時計の秒針が部屋に響く。



なんだか、泣きつかれて、寒くて、頭がぽーっとしてきて目を閉じようとした... とき。





ガチャッ


ドアがすごい音で開いた。



玄関の明かりがぽっと光って、足音が近づく。



リビングに入って、ばっと明かりをつけた人。




その人は、ぼうぜんとあたしの方を見ている。



走ってきたのか、息が荒い。


病院から飛び出してきたのか、白衣を手に持ったまま。




「...さ、くら?......桜っ!!」





あたしを見て、血相を変えて駆け寄った人。




でも、あたしの目の前でピタッと立ち止まった。



その視線は、あたしの手。



そう、カッターナイフ。と、切れた指。



あたしはいまだに息が苦しくて、荒い呼吸を繰り返してる。